Date2026.04.28

採用に強い企業ユニフォームとは? 多様性・エンゲージメント・誇りを生む制服リニューアルの考え方

採用に強い企業ユニフォームとは? 多様性・エンゲージメント・誇りを生む制服リニューアルの考え方

人が集まらない。採用しても定着しない。現場の温度差が埋まらない。こうした悩みを抱える企業は少なくありません。そして、その解決策としてユニフォームを最初に思い浮かべる企業も、まだそれほど多くはないかもしれません。けれども2025年の企業事例を見ていると、ユニフォームは採用・定着・エンゲージメントに深く関わる存在として、確実に位置づけが変わりつつあります。制服は、単に会社の色をそろえるためのものではなく、「この会社は、働く人をどう扱うのか」を無言で伝えるメッセージだからです。

その象徴的な事例が、フジテックのユニホーム改革です。2025年度グッドデザイン賞の評価では、従来の固定的なユニホームの概念を見直し、社員自身の声を取り入れて刷新した点が高く評価されました。さらに、職種や性別を問わず着用できるデザイン、多様性を尊重しながら統一感を実現していること、ジェンダーフリー設計やマタニティ対応、使用後ユニホームのケミカルリサイクルなどが評価理由として明示されています。ここで注目すべきなのは、「見た目が新しくなった」ことではなく、「誰も取り残さない働く環境」を服で表現している点です。
https://www.fujitec.co.jp/corporate/csr/contribution/18271

採用活動において、求職者は募集要項以上のものを見ています。どんな人が歓迎される会社なのか。現場に無理がないのか。古い価値観が残っていないか。自分がそこで働く姿を想像できるか。ユニフォームは、その問いへの非常に強いヒントになります。たとえば、性別によって選択肢が極端に固定されている制服や、体型やライフステージへの配慮が感じられない制服は、それだけで「この会社は個人より慣習を優先するのだろうか」という印象を与えかねません。反対に、選択肢があり、快適性があり、見た目にも現代性がある制服は、「ここは人を時代に合わせて大切にしようとしている」と感じさせます。

D’stationの新ユニフォームも、この文脈で非常に示唆的です。同社は2025年、「制服をもっと自由に。」というメッセージとともに新ユニフォームを発表しました。公式サイトでは、働く姿を自由にアップデートする取り組みとして、スタッフが自分の個性を発揮し、より楽しく仕事ができる環境を整備していると紹介されています。採用市場が厳しくなるほど、企業は「管理しやすい人材」を求めるのではなく、「気持ちよく力を発揮できる環境」を整える方向へ進まなければなりません。自由度のある制服は、その象徴です。

また、施工や建設などの現場でも、ユニフォームは採用力に直結しています。伊藤組土建は2025年、8年ぶりとなるユニフォーム全面リニューアルを発表し、中期経営計画の目標である「働きやすく、やりがいのある会社」を目指すなかで、社員の意見を反映した働きやすい職場環境づくりに向けた人的資本投資の一環として実施したと説明しています。さらに、日本ヒュームも2025年、創立100周年を機に作業服を約30年ぶりに全面リニューアルし、若手社員を中心としたプロジェクトチームが全部門で試着とヒアリングを重ねて約半年かけて完成させたと発表しました。ここから読み取れるのは、現場の制服改革が単なる見直しではなく、社員参加型のプロジェクトとして進められているということです。
https://www.itogumi.co.jp/news/detail.php?eid=00404
https://www.nipponhume.co.jp/ir/pdf/20250714.pdf

この「参加型」であることは、実は非常に重要です。会社が一方的に決めた制服は、どうしても“着せられている感覚”を生みやすくなります。ですが、現場の声が反映された制服は、“自分たちの仕事のために整えられたもの”として受け止められやすくなります。その差は、日々の着用意識だけでなく、会社への信頼にも関わります。自分たちの声を聞いてくれる会社なのか。形だけではなく本当に改善しようとしているのか。ユニフォームは、そうした企業姿勢を毎日身体で感じる媒体でもあるのです。

さらに、採用に強いユニフォームには、社外へ向けた発信力もあります。いまはSNSや採用サイトで、社内の雰囲気が可視化される時代です。写真に写るスタッフの印象は、企業ブランディングそのものになります。古く見える制服、疲れて見えるシルエット、動きにくそうな服は、それだけで職場の印象を下げてしまうことがあります。一方で、自然体で、清潔感があり、今の時代に合った装いは、「この会社はちゃんとしている」「ここで働く姿が想像できる」と感じさせます。採用広報に多額の予算をかける前に、まず現場に立つ人の装いを整えることが、結果的に最も効率のよい投資になることもあります。

WANSIE UNIFORMが大切にしているのも、この“誇りが生まれる制服”という視点です。制服が変わるだけで、スタッフの立ち姿が変わることがあります。姿勢が変わり、声の出し方が変わり、お客さまとの向き合い方が変わることがあります。なぜなら、人は自分の装いにふさわしいふるまいを自然に選びはじめるからです。だからこそ、ユニフォームは表層的なデザインだけでは完成しません。誰が、どんな気持ちで、どんな場面で着るのか。その積み重ねを丁寧に設計してはじめて、会社の空気まで変える一着になります。

採用が難しい時代だからこそ、企業は条件や待遇だけでなく、「この会社で働くことの感覚」を整える必要があります。多様性に配慮されているか。無理なく働けるか。誇りを持てるか。企業の価値観に共感できるか。2025年の先進事例は、その答えの一つとしてユニフォームを見直しています。採用に強い会社とは、求人票がうまい会社ではなく、働く人が自分の姿に前向きになれる会社です。そして、その入口にユニフォームがあるのなら、そこに投資しない理由はありません。制服は、ただ揃えるためのものではなく、働く人の心をそろえるためのものでもあるのです。