企業活動における環境負荷低減は、もはや一部の先進的な取り組みではなく、持続可能な経営(ESG経営)の根幹をなす必須要件となりました。特に、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量を可視化・削減する「Scope3」の算定と開示は、大手企業にとって喫緊の課題です。その中で、全従業員が日常的に着用する「制服(ユニフォーム)」を環境配慮型素材へ切り替え、さらに使用後に資源循環させる「ケミカルリサイクル」の仕組みを導入する動きが急速に加速しています。
本記事では、サステナビリティ推進室やESG経営をご担当される方に向けて、制服におけるケミカルリサイクルとScope3算定の深い関係性、法改正の動向、そして自社に最適なユニフォームの選び方と導入手順を詳しく解説します。
1. なぜ今、大手企業の制服に「ケミカルリサイクル」が求められるのか
企業の社会的責任(CSR)や環境情報開示の圧力が強まるにつれ、自社の直接排出(Scope1・2)だけでなく、サプライチェーン全体の排出量である「Scope3」の正確な算定と削減が求められています。その算定対象には、オフィスや店舗、現場で着用される「制服の調達から廃棄に至るライフサイクル」も含まれます。
従来の石油由来のポリエステル繊維で作られた制服は、大量生産・大量焼却のプロセスにおいて膨大なCO2を排出していました。これに対し、廃棄された衣類やペットボトルを分子レベルで分解し、再び新品同様のポリエステル樹脂へと再生する「ケミカルリサイクル」技術を活用した制服への刷新は、Scope3のカテゴリー1(購入した製品・サービス)における排出量削減に直結します。
実際に、大手物流インフラを担うヤマト運輸(2020年新制服:植物由来PET素材・伸縮性向上・熱中症対策)のように、環境負荷低減と従業員の快適性・機能性を両立させた制服リニューアルは、企業の環境姿勢をステークホルダーに強く示す象徴的な事例となっています。
2. Scope3算定における制服の役割と算定方法の基礎
Scope3の算定において、制服は「カテゴリー1:購入した製品・サービス」および「カテゴリー12:販売した製品の廃棄」に深く関与します。企業が数千人、数万人規模の従業員分ユニフォームを調達・廃棄する場合、その環境インパクトは決して無視できません。
Scope3算定の主なアプローチ
① 一次データ(サプライヤー特定法)の活用
ユニフォームの製造元(サプライヤー)から、実際に使用された再生素材の割合や、製造工程におけるCO2排出量の実データ提供を受け、算定に組み込む方法です。ケミカルリサイクル素材を採用している場合、バージン素材と比較してどの程度の温室効果ガス削減効果があったのかを明確に数値化しやすく、ESG評価において高い透明性を担保できます。
② 二次データ(活動量×排出原単位法)の活用
調達した制服の総重量(kg)に対し、環境省やLCA(ライフサイクルアセスメント)データベースが提供する業界平均の排出原単位を乗じて算定する方法です。初期段階では有効ですが、削減努力が数字に反映されにくいというデメリットがあります。
サステナビリティ推進の観点からは、①の一次データを取得できるサプライチェーンを構築し、ケミカルリサイクルやサーキュラーエコノミー(循環型経済)への移行実績を正確にScope3の算定値に反映させることが、投資家や格付け機関への強力なアピールとなります。
3. 関連する法改正と企業のコンプライアンス対応
近年、環境配慮に関する法規制やガイドラインは急速に厳格化しています。ESG経営を推進する上で、以下の法改正や制度変更へのキャッチアップは欠かせません。
① 金融商品取引法に基づく有価証券報告書のサステナビリティ開示義務化
上場企業を対象に、サステナビリティに関する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の開示が義務付けられました。特に「温室効果ガス排出量(Scope1, 2, 算定可能なScope3)」の開示は必須であり、制服等の間接的な調達における環境配慮実績も開示の対象となり得ます。
② 資源有効利用促進法およびプラスチック資源循環法
事業者に対して、製品の設計段階からの資源効率化や、使用済み製品の自主回収・再資源化(リサイクル)の取り組みが強く求められています。大量のユニフォームを廃棄する企業にとって、単なるゴミ処理ではなく、ケミカルリサイクルを前提とした回収スキームを持つユニフォームの導入は、法適合および社会的責任の遂行において極めて有利に働きます。
4. サステナブルな制服の選び方:4つの基準
自社のESG目標を達成し、従業員にも愛される制服を選ぶためには、以下の4つの基準をクリアする必要があります。
基準1:ケミカルリサイクル・環境配慮素材の採用
石油資源の消費を抑え、CO2排出量を削減できるケミカルリサイクルポリエステルや植物由来素材を採用しているかを確認します。トレーサビリティ(追跡可能性)が確保されている素材を選ぶことが、グリーンウォッシュ(見せかけの環境配慮)を回避する鍵となります。
基準2:従業員の着用感と機能性(耐久性・快適性)
どれほど環境性能が高くても、従業員が働きにくさを感じては本末転倒です。ストレッチ性による動きやすさ、吸汗速乾性や通気性といった熱中症対策、長期間の着用に耐えうる耐久性を兼ね備えていることが大前提となります。
基準3:企業のブランドアイデンティティを体現するデザイン
企業の顔となる制服だからこそ、ESG経営に取り組む先進的でクリーンな企業イメージを視覚的に表現できるデザインであるべきです。トレンドに左右されず、長く愛用できる普遍性も求められます。
基準4:適切なロットとサプライチェーンの柔軟性
「大企業のグループ会社や一部の部署だけ少人数で導入したい」「まずは試験的に極小ロットで作りたい」といった現場のニーズに対し、柔軟に対応できる体制があるかも重要な選定基準です。
5. WANSIE UNIFORMの強みとオリジナルユニフォーム導入手順
WANSIE UNIFORMでは、企業のサステナビリティ戦略に寄り添い、環境配慮型素材を用いた完全オリジナルのユニフォーム製作をサポートしています。大手企業様が抱える「Scope3算定に向けた環境価値の付与」や「独自のブランドイメージを反映したデザイン」のニーズにお応えします。
完全オリジナルユニフォームの製作は、お客様のこだわりに深く寄り添うため、通常3カ月以上の納期をいただいております(※スケジュールのご相談も柔軟に承ります)。また、大ロットだけでなく、極小ロット対応も可能ですので、特定の部署や店舗限定のサステナブル制服導入にも最適です。
導入の標準的な手順
1. ご相談
サステナビリティ目標、Scope3算定の要件、ご予算、着用シーン、必要な機能性などについてヒアリングを行います。
2. お見積り・デザインご提案
環境配慮型素材の選定を含め、企業のブランディングに合致するオリジナルデザインと詳細なお見積りをご提示します。
3. 仕様書・サンプル作成
デザインの細部や素材の質感、機能性を実物(サンプル)および仕様書でご確認いただき、量産前の微調整を行います。
4. 生産・納品
厳格な品質管理のもとで生産を行い、指定のスケジュールに合わせて納品いたします。
制服のケミカルリサイクル導入は、単なる衣替えにとどまらず、企業のScope3算定を加速させ、ESG経営を社内外にアピールする強力なツールとなります。サステナブルなユニフォームづくりをご検討の際は、ぜひWANSIE UNIFORMへお気軽にご相談ください。


