〜快適性とブランディングの両立で、現場も企業イメージも進化する〜
日本の春夏は“高温多湿の過酷現場”に変わった
近年、気候変動の影響により、日本の春夏は“高温かつ多湿”という過酷な環境へと変化しています。
5月後半から気温は急上昇し、6月には梅雨による湿度、7月〜9月には気温35℃超の猛暑日が続出。働く環境としての負荷はかつてないほど高まっています。
このような環境の中で、サービス業・運送業・建設業・飲食業など、現場で働く人々のユニフォームはどうあるべきか。今、多くの企業が直面している課題です。
ユニフォームは「道具」であると同時に「広告」である
従業員が毎日着用するユニフォームには、
- ・現場での快適性を支える“装備”としての役割
- ・企業の価値観や世界観を伝える“看板”としての役割
この両面が求められています。「汗だくになっても我慢する」「重くて動きづらいけど仕方ない」——そんな常識はもう古い。“着たくなる制服”が働く人のモチベーションを上げ、企業への好感度まで左右する時代なのです。
素材選びがパフォーマンスの70%を左右する
春夏ユニフォーム最大の決め手は、やはり素材選びです。2025年現在、以下のような「ハイブリッド高機能素材」が主流になりつつあります:
- ・吸水速乾性ポリエステル(ドライテック、エアリズムなど)
- ・メッシュ構造のトリコット素材
- ・紫外線カット加工繊維
- ・接触冷感素材(冷感ナイロン・キシリトール配合繊維など)
実際に、ANA(全日本空輸)はグランドスタッフ向けの夏制服に、東レの「クールモーション®」を採用。見た目はスーツライクながらも、通気性・速乾性に優れ、炎天下でもプロフェッショナルな印象を損なわずに快適さを実現しています。
「風が通る構造」で身体全体を守る
どれだけ素材が良くても、構造が悪ければ意味がありません。春夏ユニフォームの設計には、以下のようなディテールが不可欠です:
- ・背面ベンチレーション(通気スリット)
- ・脇下〜サイドラインにメッシュ素材
- ・立体裁断による可動域の拡大
- ・軽量ファスナー&薄型ポケット設計
大手配送業者のヤマト運輸では、近年ジャケットにフルメッシュ背面を採用。さらに、パンツには裾内側にベンチレーションを設けることで、下半身の熱こもりも解消。現場からは「午後になっても集中力が持続する」「制服のせいで疲れることが減った」と好評です。
汗・汚れ・透け感…春夏ユニフォームに潜む“見た目の課題”
春夏の制服では「素材・構造」だけでなく、見た目への配慮も重要です。汗染みや皮脂汚れが目立ちやすく、また薄手素材は透けやすいため、カラーリングとロゴ配置に工夫が必要です。
たとえば、某外資系カフェチェーンでは、ライトグレーのユニフォームに耐透けインナー素材+胸元にブランドカラーの刺繍という組み合わせを採用。
結果として、涼やかで洗練された印象と、ブランドの存在感を同時に演出することに成功しています。
ブランディングと採用力の源になる“好印象制服”
実際、就職希望者の中には「制服がかっこいい・おしゃれだから働きたい」と感じる人も少なくありません。とくに若年層では企業制服=ブランドイメージの象徴として捉える傾向が強くなっています。
ある都内の有名焼肉チェーンでは、2023年に夏用ユニフォームを刷新し、襟なしジャケット×ブランド刺繍入りTシャツに変更。Instagramで「#スタッフユニフォーム可愛い」と話題になり、結果的に応募者数が前年比2.2倍に増加しました。
春夏ユニフォーム選びで失敗しないためのチェックリスト
- ・気候適応型素材(速乾・UVカット・冷感)は採用されているか?
- ・構造的通気性(メッシュ・スリット・立体裁断)が備わっているか?
- ・色選び・ロゴ配置にブランド性と実用性のバランスがあるか?
- ・社員の声・現場のフィードバックを取り入れているか?
- ・デザインに“共感”を生む要素があるか?
これらを満たすユニフォームは、業務効率も社内満足度も、そして企業イメージすらも底上げしてくれます。
最後に:夏に「着たくなる制服」をつくるということ
ユニフォームは“会社の顔”です。
そして春夏ユニフォームは、“働きやすさ”と“印象”の分岐点となります。
風が通り、汗が乾き、清潔感と誇りが宿る一着。
それは現場を支える人々にとって、最も実感できる企業の「やさしさ」かもしれません。